Stiffness of the human foot and evolution of the transverse arch
Venkadesan, M., Yawar, A., Eng, C.M. et al.
Nature (2020).
https://www.researchgate.net/publication/339515163/figure/fig1/AS:863056217255940@1582780045923/Illustrated-anatomy-of-the-foot-a-Identification-of-the-bones-of-the-foot-that-are_W640.jpg
私たちにとっては当たり前のように見える自分の足ですが、バイオメカニクスの視点で見てみると、この足は、相当困難な仕事をしてくれているのです。足の親指の付け根を使って体を押し出す時、足には体重よりも大きな力がかかり、そのため足の中央部分は湾曲します。それでも足はこの強大な力に耐える十分な強度があるためその形状を維持することができます。この度科学誌Natureに発表された新たな研究では、あまり研究されていなかった「横アーチ」と呼ばれる足の中央を横切る部分の重要性に注目しました。 「人間の足がどのように機能するかをきちんと理解すると、様々な応用ができます。」と、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の非線形・非平衡物理ユニットで研究を率いているマヘッシュ・バンディ准教授は語ります。 例えば扁平足による障害の現在の定義は、よく研究されている縦方向の「縦アーチ」のみに基づいており、横方向の横アーチを考慮していない、とバンディ准教授は説明します。さらに今回の研究は、ロボットの足の設計にも役立ち、また、二足歩行がどのように進化したかについての手がかりも得られる、としています。 足の剛性に関しては、縦方向のアーチは十分に研究されているが、本研究では横方向のアーチがより重要である可能性を示した。
従来の研究では、足の剛性の25%が縦アーチによることがわかっています。研究者らは、フロッピーディスクを丸めると、丸めた方向に対して垂直方向には曲げにくくなるのと同様に、横アーチがこの効果にさらに貢献すると理論付けました。そしてこの度、コンピュータ・シミュレーションで開発されたプロトコル及びプラスチックモデルとメカニカルモデルの実験を使用し、ヒトの足の剛性の約半分が横アーチによって制御されることを見出しました。
ヒトの足における剛性の測定
足の中央部分(ミッドフット)における剛性に影響を与えるものを判断するため、バンディ准教授と共同研究者らは、ミッドフットのコンピュータ・シミュレーションとプラスチックモデルの両方を作成し、一定量曲げるのに必要な力を測定しました。 「より顕著な横アーチを備えたプラスチックモデルとシミュレーションでは、より平坦な足のモデルよりも剛性が高く、曲げの影響を受けにくいことがわかりました。逆にこれらのモデルでは、縦アーチの曲率を増加させても、剛性にほとんど影響しませんでした。」と、バンディ准教授は説明します。
その後、長さ、厚さ、横アーチ曲率が異なる足のメカニカルなモデルの曲げ試験を実施したところ、シミュレーションとプラスチックモデルの実験と同様、より顕著な横アーチを持つ足の模倣体を曲げようとすると、より剛性があることを発見しました。実験の最後に、献体された足において、縦アーチ組織をそのままにして足の横アーチ組織を切断すると、足の剛性が約半分に低下したことがわかりました。
人類の進化においてバンディ准教授と共同研究者らは、人類の進化において横アーチが果たした役割にも注目しました。これまでの研究で、ベルベットモンキー、マカク、チンパンジー、ゴリラの足は、人間の足よりもかなり平らで、部分的にしかヒトの足のような剛性がないことが知られています。一方、私たちのようなヒト属内の種はすべて、顕著な横アーチを持ち、効果的なウォーキングやランニングが可能です。 バンディ准教授と同僚は、人間と人間以外の霊長類の横アーチの曲率を、初期のヒト属の化石と比較することで、化石の記録の中でも顕著な横アーチがどこで最初に出現したかを調べました。「ヒトのような横アーチは、ヒト属出現の150万年以上前に現れ、現代のヒトの進化における重要な局面であったことがわかりました。本研究結果は、縦アーチばかりでなく、横アーチも分析する必要があることを示しています。」と、准教授は語っています。 本研究は、バンディ准教授、イエール大学のMadhusudhan Venkadesan教授、ワーウィック大学のShreyas Mandre教授によって共同で主導され、ヒューマンフロンティア・サイエンスプログラムの若手研究者助成金による資金提供を受けました。
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The stiff human foot enables an efficient push-off when walking or running, and was critical for the evolution of bipedalism1–6. The uniquely arched morphology of the human midfoot is thought to stiffen it5–9, whereas other primates have flat feet that bend severely in the midfoot7,10,11. However, the relationship between midfoot geometry and stiffness remains debated in foot biomechanics12,13, podiatry14,15 and palaeontology4–6. These debates centre on the medial longitudinal arch5,6 and have not considered whether stiffness is affected by the second, transverse tarsal arch of the human foot16. Here we show that the transverse tarsal arch, acting through the inter-metatarsal tissues, is responsible for more than 40% of the longitudinal stiffness of the foot. The underlying principle resembles a floppy currency note that stiffens considerably when it curls transversally. We derive a dimensionless curvature parameter that governs the stiffness contribution of the transverse tarsal arch, demonstrate its predictive power using mechanical models of the foot and find its skeletal correlate in hominin feet. In the foot, the material properties of the inter-metatarsal tissues and the mobility of the metatarsals may additionally influence the longitudinal stiffness of the foot and thus the curvature–stiffness relationship of the transverse tarsal arch. By analysing fossils, we track the evolution of the curvature parameter among extinct hominins and show that a human-like transverse arch was a key step in the evolution of human bipedalism that predates the genus Homo by at least 1.5 million years. This renewed understanding of the foot may improve the clinical treatment of flatfoot disorders, the design of robotic feet and the study of foot function in locomotion. The transverse tarsal arch, acting through the inter-metatarsal tissues, is important for the longitudinal stiffness of the foot and its appearance is a key step in the evolution of human bipedalism. 硬い人間の足は、歩行時または走行時の効率的な押し出しを可能にし、二足歩行の進化に重要でした1-6。人間の中足の独特なアーチ形の形態はそれを強化すると考えられています5-9。他の霊長類は中足でひどく曲がる平らな足を持っています7,10,11。ただし、中足部の形状と剛性の関係は、足の生体力学12、13、足病学14、15、古生物学4-6で議論されたままです。これらの議論は内側縦アーチ5,6を中心としており、剛性が人間の足の第2の横足根アーチによって影響を受けるかどうかを考慮していません16。ここでは、中足骨間組織を介して作用する横足根弓が、足の縦方向の剛性の40%以上を担っていることを示します。基本的な原理は、横方向にカールするとかなり硬くなるフロッピー通貨のメモに似ています。横方向の足根弓の剛性寄与を支配する無次元の曲率パラメータを導出し、足の機械モデルを使用してその予測力を実証し、その人骨足の骨格相関を見つけます。足では、中足骨間組織の材料特性と中足骨の可動性が足の縦方向の硬さ、ひいては横足根弓の曲率と剛性の関係にさらに影響する可能性があります。化石を分析することにより、絶滅したヒト族の間の曲率パラメータの進化を追跡し、ヒトのような横アーチがホモ属の少なくとも150万年前の人間の二足歩行の進化の重要なステップであることを示します。足に関するこの新たな理解は、扁平足障害の臨床治療、ロボット足の設計、および歩行における足機能の研究を改善する可能性があります。中足骨間組織を介して作用する横足根アーチは、足の縦方向の剛性に重要であり、その外観は、人間の二足歩行の進化における重要なステップです。